生ビールが、目の前のカウンターに置かれた。
「先に飲んじゃおうかな」
誘惑に抗えず、冷たいグラスを持ってひと口喉へ流し込む。
「くぅー」
つい声が出る。ビールは注ぎたてに限る。
きめ細かな泡が舌の上を滑らかに滑り、すっきりとした苦みの後からコクとうまみが追いかけてくる。
仕事終わりの一杯は、それだけでご褒美になる。
「お待たせしましたー、チキンレッグ煮込みオリジナルスープ五番です」
大きな深皿には、器からはみ出しそうなほど大きなチキンレッグと色鮮やかな野菜が盛られていた。
湯気とともに立ち上るスパイスの香りを吸い込む。
それだけで幸せな気分になる。
「わぁ……すごい。おいしそう! いただきます」
まずはスープをスプーンでひと口。
魚介の深いコクが口いっぱいに広がり、続いてスパイスの香りが弾ける。
あとからじわりと辛味が追いかけてきた。
「んー! ウマッ、辛っ」
少しむせながら二杯目を口に運ぶ。
これこれ。これを食べるために札幌へ来たと言っても過言じゃない。
私はビールをひと口流し込む。
「ぷはぁ……最高」
チキンレッグをスプーンでほぐし、スープをまとわせたライスと一緒に頬張る。
素揚げされた大ぶりのニンジンにかぶりつけば、驚くほど甘い。
(これ本当にニンジン?)
新種のフルーツなんじゃないか、そう思ってしまうくらい、野菜本来の甘さが際立っている。
続いてジャガイモ。
ほんのり黄色く、ほくほくとねっとりのちょうど中間。これもまた甘い。
肉厚のピーマンはみずみずしく、ゴボウは香り豊かで噛むほどに旨味が広がる。
「すみません! 生ビールお願いします」
熱々のスープカレーと、キンキンに冷えた生ビール。この組み合わせが合わないわけがない。
「すみません、僕もビールください」
背後のテーブル席から男性の声が聞こえた。
どこかで聞いたことのある声。
嫌な予感がして、そっと振り返る。
「……え」
花村さん?
そんなまさか。いつからいたんだろう。
まったく気が付かなかった。
昼間のスーツ姿とは別人のようだった。
シンプルなシャツにジャケットというラフな服装が不思議なくらい様になっている。
髪を下ろしているせいか、どこか柔らかな雰囲気で、少しだけ若く見えた。
……なるほど。私服も、かっこいいんだ。
胸がほんの少しだけ高鳴る。
声をかけるべき?いやいや、これは、あえて声を掛けないのがお互いのためだ。
しかも私、完全オフモードだし。気付かれていないはず。
それに目の前には、スープカレーがある。
私はスプーンを持ち直した。
チキンを崩し、スープにくぐらせる。
よし!今はスープカレーに全集中。
男も営業も、その後で十分。
「先に飲んじゃおうかな」
誘惑に抗えず、冷たいグラスを持ってひと口喉へ流し込む。
「くぅー」
つい声が出る。ビールは注ぎたてに限る。
きめ細かな泡が舌の上を滑らかに滑り、すっきりとした苦みの後からコクとうまみが追いかけてくる。
仕事終わりの一杯は、それだけでご褒美になる。
「お待たせしましたー、チキンレッグ煮込みオリジナルスープ五番です」
大きな深皿には、器からはみ出しそうなほど大きなチキンレッグと色鮮やかな野菜が盛られていた。
湯気とともに立ち上るスパイスの香りを吸い込む。
それだけで幸せな気分になる。
「わぁ……すごい。おいしそう! いただきます」
まずはスープをスプーンでひと口。
魚介の深いコクが口いっぱいに広がり、続いてスパイスの香りが弾ける。
あとからじわりと辛味が追いかけてきた。
「んー! ウマッ、辛っ」
少しむせながら二杯目を口に運ぶ。
これこれ。これを食べるために札幌へ来たと言っても過言じゃない。
私はビールをひと口流し込む。
「ぷはぁ……最高」
チキンレッグをスプーンでほぐし、スープをまとわせたライスと一緒に頬張る。
素揚げされた大ぶりのニンジンにかぶりつけば、驚くほど甘い。
(これ本当にニンジン?)
新種のフルーツなんじゃないか、そう思ってしまうくらい、野菜本来の甘さが際立っている。
続いてジャガイモ。
ほんのり黄色く、ほくほくとねっとりのちょうど中間。これもまた甘い。
肉厚のピーマンはみずみずしく、ゴボウは香り豊かで噛むほどに旨味が広がる。
「すみません! 生ビールお願いします」
熱々のスープカレーと、キンキンに冷えた生ビール。この組み合わせが合わないわけがない。
「すみません、僕もビールください」
背後のテーブル席から男性の声が聞こえた。
どこかで聞いたことのある声。
嫌な予感がして、そっと振り返る。
「……え」
花村さん?
そんなまさか。いつからいたんだろう。
まったく気が付かなかった。
昼間のスーツ姿とは別人のようだった。
シンプルなシャツにジャケットというラフな服装が不思議なくらい様になっている。
髪を下ろしているせいか、どこか柔らかな雰囲気で、少しだけ若く見えた。
……なるほど。私服も、かっこいいんだ。
胸がほんの少しだけ高鳴る。
声をかけるべき?いやいや、これは、あえて声を掛けないのがお互いのためだ。
しかも私、完全オフモードだし。気付かれていないはず。
それに目の前には、スープカレーがある。
私はスプーンを持ち直した。
チキンを崩し、スープにくぐらせる。
よし!今はスープカレーに全集中。
男も営業も、その後で十分。
