分かれ身の乙女と孤高の水神様の贄婚 〜煩わしき君に恋煩うまで、あと×日〜

「千香、お前の婚儀(・・)の日取りが決まった。七日後の満月の夜だ」

 父がそう告げた瞬間、継母と異母妹・美与(みよ)はにいと口の端を吊り上げた。

「あら、とうとうおよみ(・・)……お嫁に行ってしまうのね」
「お姉様にお似合いの相手だもの。きっと、そうね……ふ()幸せ(・・)になれるわ」

 そんな三人を一瞥した私は、表情を変えることもなく頭を下げた。

「承りました。その日までに心積もりをし、身支度を整えます」

 その日(・・・)が来ることは何年も前からわかっていたことだ。
 すでに人事は尽くし、あとは天命を待つばかりである。
 だから――。

「……はっ、死をも恐れぬこの化け物が。この子の言う通り、化け物には化け物の夫がお似合いだわ」

 ぼそりと呟いた継母に心底気味悪そうな視線を向けられても、今更傷つくこともない。
 「黄泉」だとか「不幸せ」だとか、言葉遊びの中に悪意を滲ませてくるのもいつものことだ。
 むしろあまりにも「いつもの光景」過ぎて、私はいっそ笑い出したい気分ですらあった。

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