分かれ身の乙女と孤高の水神様の贄婚 〜煩わしき君に恋煩うまで、あと×日〜

 久々に上がった地の上の世界で、千香を見つけるのは難しくなかった。
 彼女はどういうわけか国中を騒がせる存在になっていたからだ。

「えっ、水神様?」

 騒ぎの中心地に行くと、千香は驚き、次いで俺に申し訳なさそうな顔を向けてきた。

「あの、水底から出た身で申し訳ございませんが、一つお願いを聞いていただくことはできませんか? 三の宮様が意識のない私と婚姻を結ぼうとされていたのですが、それは身分の低い女性と恋愛を続ける隠れ蓑にしたかったかららしく。私が起きてそれが駄目になったので、今度は駆け落ちをなさりたいようで……」
「千香自身が彼らの管理をするなら構わないぞ」
「えっ?」
「この先も『水神の伴侶』として、彼らを千香自身が管理する。その契約が結べるなら、全て好きにするが良い」