この日から、毎日2人で引っ付いて眠るようになった。初めは、俺が嫌がってフローリングにクッションを置いて寝ていたけど、朝起きると、なぜかれおまでフローリングにいて。あの日だけだったと何度言っても、〝祥夜と寝たい!〟と俺が折れるまで腰から離れなかった。
「分かったから!ただし、寝るだけだからな?」
「寝る以外に何かあるの?」
「いや、何もないけど…」
「何もない?俺が祥夜にキスしないかとか、気にしてるの?」
「…」
〝そっか、してほしいのか!〟と引っ付いて付き纏うので、ステイで黙らせる。余裕そうに笑うれおに対して、顔を赤くしてれおを睨む俺。主従関係が逆転しそうだ。飼い主は俺なのに。
こんなふうにして一緒に眠るハメになってから、恥ずかしながら毎日よく眠れるようになった。開発部で毎日定時退勤して、張り合いのない地味な生活をしていた頃に比べて、営業部の仕事を手伝ってから眠りの質が良くなった分、寝起きも良くなり、目覚ましが鳴る前に自然と目が開くようになっている。
首元にれおの寝息がかかってくすぐったいのもある。背丈が変わらないから仕方ないけど、これだけ距離が近いと、面倒も多い。
「れお。起きるから、手離して」
「ん…。もう起きるの?」
「会社行くから」
「まだ行かないで…」
その場で話されると、首がもぞもぞしてくすぐったい。起き抜けで声も掠れていて、服も寝相の悪さから首元がはだけていて、妙に色気があるし。
引き剥がして布団から出ると、れおも床に這いつくばって付いてくる。目が閉じているのに俺に引っ付こうと必死なのが、見ていて面白い。
「今日も営業の人たち、手伝ってくるの?」
「流石に毎日はまずいかな。たまに仕事がパンクしそうになると、手伝いに行ってるけど…」
「営業の仕事、楽しい?」
「…うん。あの雰囲気、すごい刺激になるんだよね。何か、仕事してるって感じで。もっと頑張りたいって、あそこにいると思える」
「じゃあ祥夜もいつかは、営業の人になるね」
「…そうなると、良いね」
目を擦るれおと話しながら、6枚切りの食パンをトースターでこんがり焼いて、フライパンでちゃちゃっと焼いたスクランブルエッグを、焼いた食パンの上に乗せる。朝ごはんは、いつもこれ。
れおの前と俺の前に1枚ずつ置いて、満面の笑みでかぶりつくれおを見て微笑みながら、俺もかぶりつく。〝美味しいね〟と子どもみたいに俺に話しかけるれおに、小さく頷く。
「今日も遅くなりそう?」
「どうだろ?手伝いには行かないから、早く帰ってくると思うよ」
「じゃあ、唐揚げ食べたい!」
「唐揚げは仕込んでおかないとだから、今日は無理だよ。チキン南蛮とかならできるけど」
「それが良い!」
「分かった」



