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淡青の空のもと。
わたしは宵月さまに手を引かれ、『幽池』を訪れていた。
季節は、木々が朱に恥じらいはじめたころ。
ほのかに色づいた葉が、はらりと水面に舞い落ちる。
「おまえの血をじかに口にしたとき、全身にしみわたる清廉な力を感じた。渇きを潤す、桃の香り──あれが『桃娘』の持つ、癒やしの力なのだろう」
「宵月さま、お加減のほうは、よろしいのですか?」
「無論だ。俺のことより、自分のからだを労れ」
中秋節の夜。
わたしは宵月さまのために、夜もすがら舞った。
その末に牙を突き立てられ、倒れたのだった。
「狼族の毒は、噛みついた相手を三日で死に至らせる猛毒だ」
宵月さまも、気が気ではなかったはずだ。
けれど、わたしは死ななかった。
「──奇跡が、起きた」
七日七晩をへて、目覚めたのだ。
「おまえが、俺を呪いから解き放ってくれた」
「宵月さま……」
「ありがとう、李花……っ!」
感極まったように、宵月さまに抱きすくめられる。
「ふふ、苦しいです」
「……心配なんだ。おまえがまた、どこかへ行ってしまわないかと」
わたしが目覚めてからというもの。
宵月さまは、ひとときもそばを離れようとしなかった。
四蓮さまも「仕方ないやつだなー」と呆れつつも、それを咎めることはしない。

