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「わたしの母さまが、宵月さまのお祖父さまの病を治した……」
「彼女がいなければ、俺はここに存在すらしなかった。まさしく狼族の恩人と呼べる人物だ」
衝撃的な告白だった。
けれど宵月さまの真摯な表情を見れば、すべてが真実なのだと思い知らされる。
しだいに状況が飲み込めてくると、『違和感』に気づく。
「待って、ください……母さまが死んでしまったのは、病を治したから、なのですか? 狼族に噛まれたからではなく……?」
「呪いのせいではない。なぜなら、そのときの狼族は、まだ呪われていなかったからだ」
「どういうこと、でしょう……?」
「お祖父さまが……狼族がその身に猛毒を宿したのは、柳王朝を討ち果たした後。皇城にひそんでいた呪術師が、死に際に放った呪詛が原因らしい。それ以降、狼族は呪いを受けた男児が生まれるようになった」
それは、いくさの功労者である宵月さまのお祖父さまを、狼族を、末代まで呪うという行為だ。
……なんと、恐ろしい。
「李花、おまえは間違いなく、『桃娘』の血を引く娘だ」
「わたしには、癒やしの力がある、ということですか……?」
「あぁ。だがこの事実が知れ渡れば、ほかの獣人族も黙ってはいないだろう。俺は……おまえがだれかに利用されて、悲しむさまを見たくない」
とつとつと心情を吐露する宵月さま。
その面持ちは、切実なものだった。

