桃娘蜜月伝〜虐げられた姫は、時をこえ狼帝の孤独を溶かす〜


  *  *  *


 寝台でひとり、横になる。
 目を閉じてしばらく。
 夜ふけに、かすかな物音で目を覚ました。

「……宵月、さま?」
「起こしてしまったか」

 宵月さまは、毎日遅くまで政務をされている。
「先に休んでいろ」と言われていたものの……

「気にするな。俺もすぐに寝る」

 夜着姿でやってきた宵月さまは、そういって寝台に寝ころぶ。わたしに背を向けて。
 こうした夜を重ねるたびに、胸がツキンと軋む。

「今夜も……抱いてくださらないのですか」
「うぐ……」

 ひと月だ。ひと月もたつというのに、わたしは役目を果たせていない。

「わたしに、魅力がないからでしょうか……」
「李花……」
「どうすれば、宵月さまのお役に立てますか……?」

 いけない……泣いている場合じゃないのに。
 心細くて、宵月さまにすがってしまう。

「あぁもうっ──おまえというやつは!」

 宵月さまが声を張り上げた後、視界がぐるりと回る。

「…………え?」

 わたしは、仰向けに転がされていた。
 馬乗りになった、宵月さまによって。