「宮子、宮子……。俺はもうだめだ。不安なんだ。ここで殺してくれ」
「あんた、波止場と仲直りしたって言ってなかった?」
波止場との仲直りから数日後。俺は朝の教室で、机に突っ伏していた。
「した、したけどさぁ……」
先日、俺たちは仲直りをしてまた一緒にいられるようになったし「王子くんが一番大事」とも言ってもらえた。最高。百点。マジハッピーだ。
しかし、数日経って俺は不安になってしまった。何せなぜ避けられていたか、この理由が判明してないのだ。最初は仲直りやったー! と思っていたが、その感情が落ち着くと今度は不安が台頭する。情けない。
「なんで俺のこと避けたりしたんだよ、波止場……」
不安がっていると、顔を上げろと言わんばかりに容赦無く頭を叩かれたので仕方なく顔をあげる。宮子は俺の顔面を見つめ、満足そうにふーっと息を吐いた。
「あたし、仲直りしたとしか聞いてないんだけど……もしかしてあんた、避けられた理由きいてないの?」
「きいてない。きかないでって頼まれたから」
「は? そんな都合のいいこと言うって舐めてんの? あんたもあんたでそんな言葉かけられてすごすご引き下がってきたわけ? 都合がいい男じゃんそんなの!」
「言い過ぎだろ」
聞こえてないか不安で波止場を盗み見た。せっせと課題をやってるので大丈夫そうだ。でも課題が全然進んでなくてそれはそれで不安になってくる。
宮子に向き直り、むすっとする彼女に弁明した。
「波止場、怯えてたんだよ。だからきけなくて。それに何より『いつか話す』って約束してたからな。でも不安で、あと心配で」
「はぁ、心配ねぇ……」
不安なのは確かだが、心配なのも確かだ。何せあの時の波止場の様子はおかしかった。彼との約束を信じてはいるが、それはそれこれはこれだ。
やっぱり彼が心配で、何かあるなら取り除きたい。そう思ってしまう。
「それに、波止場が俺に何か隠してることが耐えられない」
「うわ、重。キモ。王子様やる気ある? 幼馴染系ストーカーじゃん。マジダサ激ダサ恥ずかしいよ」
「言い過ぎだろ」
宮子は不機嫌そうにしている。でも、その不機嫌が『俺が不安がっているので波止場に一言言ってやりたいが、俺が庇っているので何も言えない』からなのはわかっていた。
かわいい友達を前につい顔を綻ばせると写真を撮られた。こいつ本当に現金だな。かわいい。
「それはそうと、気になるなら修学旅行中に探れば?」
「探る?」
つい首を傾げると、宮子は頷いた。
「そ。荷物漁れとかスマホ見ろとは言わないけど、そう言う非日常的なやつってテンション上がって口滑らせるのが定石でしょ。そこで証拠掴んで三行半よ」
「別れてんじゃねぇか」
とはいえ、彼女の話は真っ当だ。波止場からきけず、それでいて気になるならそうするしかない。
ただ俺は彼との約束を信じているのだ。その上で拭いきれない不安があるだけで、何がなんでも理由を暴き立てたいわけじゃない。いつか話してくれると、信じている。
そうなるとこの不安を誤魔化すくらいの感覚で軽く、さらっと探るくらいがいいだろう。
「ありがと。じゃ、ちょっとやってみる。あくまで片手間で、あくまで軽くな」
「はいはい。ちょっと探ったって、それは波止場への裏切りじゃないと思うけどね」
見透かされている。俺たちはしばらくどうやって探るかを考え、一つの答えを出した。
「三国さんに話聞いてみるとか……?」
「あー、いいじゃん。波止場の様子がおかしくなったのって、彼女に会った後でしょ? なんか知ってるかも、きいてみなよ」
その言葉に頷き、宮子にお礼として自撮りを三枚ほど送った。
しかし、その後三国さんには会えなかった。なぜなら俺はこの学校の王子様、相手はこの学年のお姫様だ。俺が三国さんに会いたいと公言したり、彼女を呼び出したり、誰かと話している時に声をかけたら噂になってしまう。噂はいずれ波止場の耳にも入るだろう。宮子を通してもよかったが、そこまで迷惑はかけられない。
結局彼女とは一度も話せないまま、修学旅行期間に突入した。
「あんた、波止場と仲直りしたって言ってなかった?」
波止場との仲直りから数日後。俺は朝の教室で、机に突っ伏していた。
「した、したけどさぁ……」
先日、俺たちは仲直りをしてまた一緒にいられるようになったし「王子くんが一番大事」とも言ってもらえた。最高。百点。マジハッピーだ。
しかし、数日経って俺は不安になってしまった。何せなぜ避けられていたか、この理由が判明してないのだ。最初は仲直りやったー! と思っていたが、その感情が落ち着くと今度は不安が台頭する。情けない。
「なんで俺のこと避けたりしたんだよ、波止場……」
不安がっていると、顔を上げろと言わんばかりに容赦無く頭を叩かれたので仕方なく顔をあげる。宮子は俺の顔面を見つめ、満足そうにふーっと息を吐いた。
「あたし、仲直りしたとしか聞いてないんだけど……もしかしてあんた、避けられた理由きいてないの?」
「きいてない。きかないでって頼まれたから」
「は? そんな都合のいいこと言うって舐めてんの? あんたもあんたでそんな言葉かけられてすごすご引き下がってきたわけ? 都合がいい男じゃんそんなの!」
「言い過ぎだろ」
聞こえてないか不安で波止場を盗み見た。せっせと課題をやってるので大丈夫そうだ。でも課題が全然進んでなくてそれはそれで不安になってくる。
宮子に向き直り、むすっとする彼女に弁明した。
「波止場、怯えてたんだよ。だからきけなくて。それに何より『いつか話す』って約束してたからな。でも不安で、あと心配で」
「はぁ、心配ねぇ……」
不安なのは確かだが、心配なのも確かだ。何せあの時の波止場の様子はおかしかった。彼との約束を信じてはいるが、それはそれこれはこれだ。
やっぱり彼が心配で、何かあるなら取り除きたい。そう思ってしまう。
「それに、波止場が俺に何か隠してることが耐えられない」
「うわ、重。キモ。王子様やる気ある? 幼馴染系ストーカーじゃん。マジダサ激ダサ恥ずかしいよ」
「言い過ぎだろ」
宮子は不機嫌そうにしている。でも、その不機嫌が『俺が不安がっているので波止場に一言言ってやりたいが、俺が庇っているので何も言えない』からなのはわかっていた。
かわいい友達を前につい顔を綻ばせると写真を撮られた。こいつ本当に現金だな。かわいい。
「それはそうと、気になるなら修学旅行中に探れば?」
「探る?」
つい首を傾げると、宮子は頷いた。
「そ。荷物漁れとかスマホ見ろとは言わないけど、そう言う非日常的なやつってテンション上がって口滑らせるのが定石でしょ。そこで証拠掴んで三行半よ」
「別れてんじゃねぇか」
とはいえ、彼女の話は真っ当だ。波止場からきけず、それでいて気になるならそうするしかない。
ただ俺は彼との約束を信じているのだ。その上で拭いきれない不安があるだけで、何がなんでも理由を暴き立てたいわけじゃない。いつか話してくれると、信じている。
そうなるとこの不安を誤魔化すくらいの感覚で軽く、さらっと探るくらいがいいだろう。
「ありがと。じゃ、ちょっとやってみる。あくまで片手間で、あくまで軽くな」
「はいはい。ちょっと探ったって、それは波止場への裏切りじゃないと思うけどね」
見透かされている。俺たちはしばらくどうやって探るかを考え、一つの答えを出した。
「三国さんに話聞いてみるとか……?」
「あー、いいじゃん。波止場の様子がおかしくなったのって、彼女に会った後でしょ? なんか知ってるかも、きいてみなよ」
その言葉に頷き、宮子にお礼として自撮りを三枚ほど送った。
しかし、その後三国さんには会えなかった。なぜなら俺はこの学校の王子様、相手はこの学年のお姫様だ。俺が三国さんに会いたいと公言したり、彼女を呼び出したり、誰かと話している時に声をかけたら噂になってしまう。噂はいずれ波止場の耳にも入るだろう。宮子を通してもよかったが、そこまで迷惑はかけられない。
結局彼女とは一度も話せないまま、修学旅行期間に突入した。

