目つきの悪いツンデレ猫を拾ったら、二度と放してくれませんでした

文化祭が終わり、季節は冬へと移り変わっていた。

校内の空気は相変わらず賑やかだが、俺の日常は以前とはまるで違っていた。

「凛ー! 寒いから入れ」

放課後の屋上。
陸先輩が自分の大きなベンチコートを広げ、俺をすっぽりと包み込んできた。
コートの中で、二人の体が密着する。陸先輩の体温が温かくて、俺は思わず吐息を漏らした。

「先輩、ここ学校だよ……。誰か来たらどうすんの」

「誰も来ないって。ここ、俺たちの指定席だろ?」

陸先輩はそう言って、俺の手に自分の手を重ね、指を絡めてきた。恋人繋ぎだ。

以前の俺なら「やめろよ!」と突っぱねていただろう。
だけど今の俺は、素直に陸先輩の手を握り返すことができる。

「ねえ、凛」

「なに?」

「今週末、俺の家来ない? 親いないから、一日中一緒にいられるぞ」

「っ……! い、行く……」

「かわいい。ほんと素直になったな」

陸先輩が俺の頬にちゅっと軽いキスを落としてくる。

「なっ……! キスは家に行ってからって言っただろ!」

「いいじゃん、誰も見てないし。それに、お前が可愛すぎるのが悪い」

相変わらず過保護で、強引で、俺を甘やかして離してくれない太陽みたいな人。

目つきが悪くて、不器用で、一人ぼっちだった俺に、こんなに温かい居場所をくれた人。

「陸先輩」

「ん?」

「……いつも、ありがとう」

小さく囁くと、陸先輩は目を見開き、それから愛おしさに耐えかねたように俺を抱きしめた。

「あーもう、ダメだ! 可愛すぎて耐えられない! 今すぐ俺の家行くぞ!」

「ええっ!? 部活は!?」

「今日は休み! 行くぞー!」

「ちょっと、引っ張らないでよ……っ!」

文句を言いながらも、俺の顔には自然と笑みがこぼれていた。

もう、怖がるものなんて何もない。
この温かい腕の中が、俺のずっといたかった場所なのだから。