禍津神の最愛なる生贄 〜復讐の刃を抱く花嫁は、死霊の王に情愛で溶かされる〜

瓦斯灯が夜道を照らし、西洋建築と和風の屋敷が立ち並ぶ帝都。
文明開化の華やかな光に満ちたこの街の影には、古より人ならざる者たち――『あやかし』が息づいていた。

本来、彼らは自然に寄り添い、人間と付かず離れずの距離を保つ穏やかな存在だった。
しかし、人間の放つ強欲や負の感情、そして帝都の底に渦巻く得体の知れない「淀み」は彼らを蝕み、理性を失い人を喰らう異形……『禍憑き』へと変貌させていった。

夜な夜な現れる禍憑きの被害を食い止めるため、帝都軍は直属の精鋭討伐機関『極夜部隊』を設立。
人間は禍憑きを「駆逐すべき害獣」として狩り立て、帝都の夜は終わりの見えない血の匂いに染まりつつある。

――だが、人間はまだ知らない。

自分たちの際限のない欲望こそが、最も恐ろしい『禍』を生み出しているということを。