校舎のスピーカーが、突然、耳障りな電子音を鳴らした。
「はぁ~い♡ 第一ゲーム、終了~~~っ‼みんな、よく頑張ったねぇ♡それじゃあ、生存者と死亡者の発表をするよ~!」
参加者たちは息を呑む。冬馬も、咲楽も、萌香も、涼花も、固まったままスピーカーを見上げた。
「まずは~死亡者から発表するね♡今回のゲームで脱落したのは――」
一拍置かれた沈黙が、校舎全体を締め付ける。
「広瀬玲奈ちゃん♡新田さゆりちゃん♡佐伯ほのかちゃん♡そして~大河原仁くん♡」
冬馬の心臓が、強く跳ねた。さゆりの名前が聞こえた瞬間、冬馬の視界が揺れる。
さゆりは、冬馬を探して泣きながら廊下を歩いていた。
「冬馬…どこ?」
その声を冬馬は聞いていたのに、助けられなかった。胸が痛む。喉が締め付けられる。
案内人は楽しそうに続ける。
「みんな、裏切られちゃったねぇ♡かわいそ~~~♡でもこれがゲームだからねっ!」
冬馬は拳を握りしめた。誰かが、さゆりを売った。全部、俺が、助けられなかったから。
萌香が冬馬の横で、小さく息を呑む。
「冬馬」
冬馬は返事ができない。ただ、唇を噛むだけだった。
咲楽は冬馬の横顔を見つめる。
冬馬って、こんな顔するんだ…。誰かが死んだだけで、こんなに苦しむんだ…。冬馬は悪くないよ?なのに?
そして涼花も、冬馬の悲しむ姿を見て、胸が締め付けられた。
咲楽を売ったのは私だけど、冬馬を悲しませるつもりなんてなかった。でも、咲楽は許せない。
私を苦しませた。そして、冬馬を奪おうとする咲楽は、絶対に…
「じゃあ、生存ポイント上位の人は次のゲームに進めるよ~♡みんな、裏切り上手だったねぇ♡あはははは~~~っ‼」
冬馬はゆっくりと目を閉じた。俺は誰も裏切らない。でも、誰も助けられなかった。
次は、誰かを助けないと。そうしたら、みんなが危険な目に遭わずにゲームが終わるから。
その決意は、冬馬をさらに危険な方向へ導いていく。
咲楽は冬馬の手をそっと握った。
「冬馬、大丈夫だよ。私が冬馬を守るから」
冬馬は気づけない。鈍感だからだ。咲楽のその言葉が、優しさではなく“独占欲”から生まれていることに。
萌香はその手を見て、悲しくなった。もしかして…冬馬は、咲楽のことが好きなのかな。
涼花は咲楽の表情を見て、殺意が濃くなる。唯人は冬馬の肩に手を置き、静かに言った。
「冬馬、お前は悪くないよ。次は、俺が一緒に守るからさ!なんてったって、この俺がついてるからさ!」
唯人が冗談を言って、場の空気が和む。冬馬は笑って小さく頷いた。
校舎には、死者の名前がまだ響いている。その音が、冬馬の胸に深く突き刺さったまま消えなかった。
案内人のアナウンスが終わり、校舎の空気が重く沈んだ。
冬馬の肩がわずかに震えている。普段は誰よりも優しくて、誰よりも強い冬馬が、今は、ただ悲しみに押しつぶされそうになっていた。さゆりだけではなく、他の三人の死についても、冬馬は引きずっている。
さゆりは萌香の友達だった。気が弱くて、よく一緒に話していた。
「さゆり、天国で会おうね。また、いっぱい話そうね、冬馬のこと」
最後だけ小さな声で萌香が言った。
「最後、何て言ったの?」
冬馬が不思議そうな顔で尋ねる。純粋に気になったのだ。冬馬、かわいい。萌香はそう思いながらも話を続ける。
冬馬の瞳はまっすぐで、嘘がなくて、さゆりの死を本気で悲しんでいる優しさが滲んでいた。
「…さゆり、冬馬のこと好きだったから。天国でまた、冬馬の話をしたいって、そう思ってるだろうなって」
冬馬は少し驚いたように目を瞬いた。これには、咲楽も驚いていたようだった。
「そっか。さゆり…そんなふうに思ってくれてたんだな」
冬馬の声は震えていた。萌香はその横顔を見つめる。
「うん。さゆり、冬馬のこと…すごく好きだったよ。私にもよく話してた。冬馬のこと、優しいって…」
冬馬は少しだけ目を伏せる。
「俺、もっと…ちゃんと守れたらよかったのにな」
その言葉に、萌香の胸が強く揺れた。でも萌香は気づかない。
ただ、冬馬のそばにいたい。その気持ちだけが静かに膨らんでいく。
萌香は小さな声で続けた。
「冬馬、あのさ。さゆり、きっと…冬馬のこと、ずっと見てるよ。だから、冬馬が悲しんでたら、さゆりも悲しむよ」
冬馬はゆっくりと萌香を見る。
その瞳は弱くて、優しくて、どこか子どものように純粋だった。萌香は胸が熱くなる。
冬馬は小さく微笑んだ。
「ありがとう、萌香」
その一言で、萌香の心は静かに決まった。私、冬馬のこと、好きなんだ…。
奈子は咲楽の変化に気づき、不安そうに博義の袖を掴む。二人は付き合っている。
博義は咲楽の視線の鋭さに気づき、胸の奥に嫌な予感を覚える。
冬馬は気づかない。
自分の優しさが、周囲の感情をさらに狂わせていることに。
「はぁ~い♡ 第一ゲーム、終了~~~っ‼みんな、よく頑張ったねぇ♡それじゃあ、生存者と死亡者の発表をするよ~!」
参加者たちは息を呑む。冬馬も、咲楽も、萌香も、涼花も、固まったままスピーカーを見上げた。
「まずは~死亡者から発表するね♡今回のゲームで脱落したのは――」
一拍置かれた沈黙が、校舎全体を締め付ける。
「広瀬玲奈ちゃん♡新田さゆりちゃん♡佐伯ほのかちゃん♡そして~大河原仁くん♡」
冬馬の心臓が、強く跳ねた。さゆりの名前が聞こえた瞬間、冬馬の視界が揺れる。
さゆりは、冬馬を探して泣きながら廊下を歩いていた。
「冬馬…どこ?」
その声を冬馬は聞いていたのに、助けられなかった。胸が痛む。喉が締め付けられる。
案内人は楽しそうに続ける。
「みんな、裏切られちゃったねぇ♡かわいそ~~~♡でもこれがゲームだからねっ!」
冬馬は拳を握りしめた。誰かが、さゆりを売った。全部、俺が、助けられなかったから。
萌香が冬馬の横で、小さく息を呑む。
「冬馬」
冬馬は返事ができない。ただ、唇を噛むだけだった。
咲楽は冬馬の横顔を見つめる。
冬馬って、こんな顔するんだ…。誰かが死んだだけで、こんなに苦しむんだ…。冬馬は悪くないよ?なのに?
そして涼花も、冬馬の悲しむ姿を見て、胸が締め付けられた。
咲楽を売ったのは私だけど、冬馬を悲しませるつもりなんてなかった。でも、咲楽は許せない。
私を苦しませた。そして、冬馬を奪おうとする咲楽は、絶対に…
「じゃあ、生存ポイント上位の人は次のゲームに進めるよ~♡みんな、裏切り上手だったねぇ♡あはははは~~~っ‼」
冬馬はゆっくりと目を閉じた。俺は誰も裏切らない。でも、誰も助けられなかった。
次は、誰かを助けないと。そうしたら、みんなが危険な目に遭わずにゲームが終わるから。
その決意は、冬馬をさらに危険な方向へ導いていく。
咲楽は冬馬の手をそっと握った。
「冬馬、大丈夫だよ。私が冬馬を守るから」
冬馬は気づけない。鈍感だからだ。咲楽のその言葉が、優しさではなく“独占欲”から生まれていることに。
萌香はその手を見て、悲しくなった。もしかして…冬馬は、咲楽のことが好きなのかな。
涼花は咲楽の表情を見て、殺意が濃くなる。唯人は冬馬の肩に手を置き、静かに言った。
「冬馬、お前は悪くないよ。次は、俺が一緒に守るからさ!なんてったって、この俺がついてるからさ!」
唯人が冗談を言って、場の空気が和む。冬馬は笑って小さく頷いた。
校舎には、死者の名前がまだ響いている。その音が、冬馬の胸に深く突き刺さったまま消えなかった。
案内人のアナウンスが終わり、校舎の空気が重く沈んだ。
冬馬の肩がわずかに震えている。普段は誰よりも優しくて、誰よりも強い冬馬が、今は、ただ悲しみに押しつぶされそうになっていた。さゆりだけではなく、他の三人の死についても、冬馬は引きずっている。
さゆりは萌香の友達だった。気が弱くて、よく一緒に話していた。
「さゆり、天国で会おうね。また、いっぱい話そうね、冬馬のこと」
最後だけ小さな声で萌香が言った。
「最後、何て言ったの?」
冬馬が不思議そうな顔で尋ねる。純粋に気になったのだ。冬馬、かわいい。萌香はそう思いながらも話を続ける。
冬馬の瞳はまっすぐで、嘘がなくて、さゆりの死を本気で悲しんでいる優しさが滲んでいた。
「…さゆり、冬馬のこと好きだったから。天国でまた、冬馬の話をしたいって、そう思ってるだろうなって」
冬馬は少し驚いたように目を瞬いた。これには、咲楽も驚いていたようだった。
「そっか。さゆり…そんなふうに思ってくれてたんだな」
冬馬の声は震えていた。萌香はその横顔を見つめる。
「うん。さゆり、冬馬のこと…すごく好きだったよ。私にもよく話してた。冬馬のこと、優しいって…」
冬馬は少しだけ目を伏せる。
「俺、もっと…ちゃんと守れたらよかったのにな」
その言葉に、萌香の胸が強く揺れた。でも萌香は気づかない。
ただ、冬馬のそばにいたい。その気持ちだけが静かに膨らんでいく。
萌香は小さな声で続けた。
「冬馬、あのさ。さゆり、きっと…冬馬のこと、ずっと見てるよ。だから、冬馬が悲しんでたら、さゆりも悲しむよ」
冬馬はゆっくりと萌香を見る。
その瞳は弱くて、優しくて、どこか子どものように純粋だった。萌香は胸が熱くなる。
冬馬は小さく微笑んだ。
「ありがとう、萌香」
その一言で、萌香の心は静かに決まった。私、冬馬のこと、好きなんだ…。
奈子は咲楽の変化に気づき、不安そうに博義の袖を掴む。二人は付き合っている。
博義は咲楽の視線の鋭さに気づき、胸の奥に嫌な予感を覚える。
冬馬は気づかない。
自分の優しさが、周囲の感情をさらに狂わせていることに。



