クラスメートボクメツゲーム

 咲楽のいじめが暴露され、冬馬は端末を握りしめたまま、動けずにいた。
冬馬は目を閉じる。そして、ゆっくりと指を動かした。
端末が光る。
『冬馬 → 唯人』
校舎の空気が揺れた。咲楽の顔が真っ青になる。冬馬に選ばれなかったら、後がない。
「唯人は、俺の親友だ。大事な大事な親友。だからこそ、俺は唯人を選んだ。」
唯人はうなずくこともなく、泣くこともなく、ただ、冬馬を見つめている。
「なんで…っなんで唯人なの!私は死にたくないって言ったのに!」
咲楽が崩れ落ちる。ヒミツは腹を抱えて笑う。
「あははははは~~~っ‼冬馬くん、唯人くんを選んだぁ♡青春だねぇ~‼裏切りの匂いが最高っ‼」
端末が次々と光る。
唯人 → 冬馬
涼花 → 真矢
真矢 → 涼花
奈子 → 冬馬
博義 → 咲楽
冬馬は驚く。
「みんな俺を?」
唯人は笑う。
「当たり前だろ。お前を守るためだ」
奈子が言う。
「冬馬はこのゲームの中心だから」
真矢は涼花を抱きしめる。
「涼花は私が守る」
博義は咲楽を見つめる。
「俺は、お前を守りたかった」
咲楽は涙を流す。
「ありがとう、博義。」
それを見て、奈子は、どんどん咲楽のことを嫌いになっていた。
(うざ。私と博義が付き合ってること知ってるのに。わざとかよ。お前がぶりっ子だよ。あぁ、コイツの親友、ガチで嫌だ。)
涼花はその様子を見かねて、奈子に、こう言った。
「第三ゲーム、一緒に協力して、咲楽を殺そうよ。同盟、なしって言われてないでしょ?」
奈子は静かに微笑むと、小さく微笑んだ。
「は~い!ということで~♡唯人くんは死亡…」
「いや、違う」
冬馬がはっきりと否定した。
「う~ん?ルール説明で言ったはずだよ~!選ばれなかった人は…」
「ペアのうち、どちらかが死ぬなんて、お前は言ってない。だって、唯人を選んだ人はいる」
「だ~か~ら~唯人くんは死んじゃうの♡親友が死んじゃうかもしれないから怖いの~?唯人くんは選ばれなかったから…」
「俺が選んだ。だって、俺は唯人を選択しただろ?だから、唯人は死なない。絶対に」
冬馬とヒミツの言い合いが続く。なかなか言い下がらない冬馬を見て、ヒミツは諦めたように笑った。
「じゃ~あ~!今回は唯人くんを逃してあ・げ・る♡でも~萌香ちゃんが死ぬよ!だって…」
萌香が手で顔を覆う。諦めたように座り込んでしまった。
冬馬は慌てて端末を見た。だが、ヒミツの言うことは間違っていることに気づく。
「萌香を選んでいる人がいる」
「だぁ~れ?」
「悠真だよ。悠真は萌香を選んでいる。ほら」
悠真 → 萌香
「本当だ~‼悠真くんは萌香ちゃんを選んでる~♡でも、悠真くんを選んでいる人はいないよね?」
冬馬は何も言えない。悔しくて、ヒミツを睨み続ける。
「こわ~い!怒ってるの~♡この私に?でも、現実は覆せない。だよね?」
「いい加減にしろ!」
冬馬は我慢ができなくなり、ヒミツの元へ行くと、帰れ、と言った。
「うるさいんだけど~!そういうの苦手~。私じゃなくて、翔也くんに言ってくれるかしら~」
「翔也にはもう言った。だけど、その願いを受け止める政府もおかしいだろ!政府は、人の命を乱暴に扱うことを俺たちに教えるんじゃなくて、人の命を大事にすることを教えるんだろ!道徳で習ったじゃないか。みんなの命は大事にしようって」
「わ~た~し~は~♡政府の人間じゃないから。もう一回、私のこと侮辱するようなことを言ったら、今度こそ殺すからね♡」
冬馬は何もできない自分が憎らしくなった。萌香が慰めてくれるが、元気はでない。
「じゃあ、みんなは教室を出て~。悠真くんを殺しちゃうよ♡」
ヒミツは、そう言うと、悠真だけを残し、冬馬たちを外に誘導する。
「ごめん。何もできなくて。本当にごめん」
冬馬は何度も何度も悠真に謝るが、悠真は疲れ切った顔でこう言い放った。
「大丈夫だよ」
冬馬が唯人を選ぶことで、唯人は死なないことは確定していた。冬馬の考えだと、萌香は友達が多いため、選択されるはず、と考えていた。その結果、悠真が…
「ごめん」
萌香が悠真に言う。
「悠真、ごめん。私が悪い」
悠真は途方に暮れたように大声で泣き叫ぶ。