クラスメートボクメツゲーム

 真矢が震える声で叫んだ。
「…咲楽っ‼もうやめてよ…。冬馬くんを困らせないで。涼花のこと…いじめてたくせに!」
空気が止まった。咲楽の顔が一瞬で固まる。萌香が息を呑む。
冬馬は―ゆっくりと咲楽を見る。
「…咲楽?」
咲楽は慌てて否定する。
「ち、違う!私はそんなこと……!」
真矢は涙をこらえながら続ける。
「涼花はずっと泣いてた。幼馴染の私だから分かる!“咲楽に無視される”って“咲楽に悪口言われる”って“咲楽が冬馬くんの前でだけ優しくするのが怖い”って‼どれだけ涼花が辛かったと思ってる⁉
涼花は唇を噛みしめ、震える声で言う。
「咲楽…。私たち、昔は友達だったじゃん。一緒に帰って、笑って、くだらない話して…。なのに、冬馬くんのこと好きって言った瞬間から急に無視されて。なんであんなことしたの?」
涼花が睨む。
「違う!私は…そんなつもりじゃ!」
冬馬は静かに咲楽を見る。
「咲楽。涼花の言うことは本当?」
咲楽は冬馬の視線に耐えられず、目をそらす。
その声は怒鳴り声でも、責める声でもない。ただ―まっすぐで、嘘のない冬馬の声。
だからこそ、咲楽はその視線に耐えられなかった。
咲楽は目をそらす。肩が小さく震える。
気まずい。
逃げたい。
でも逃げられない。
冬馬の視線が、咲楽の嘘を許さない。
冬馬はもう一度、静かに言う。
「咲楽。答えてほしい。涼花の言ってること…本当なんだよな?」
咲楽は唇を噛む。目を伏せる。冬馬の視線から逃げる。その沈黙が―答えだった。
涼花は涙をこらえながら、咲楽を睨む。
「…やっぱり本当なんだね」
咲楽は震える声で叫ぶ。
「違う‼私はそんなつもりじゃないの!冬馬が好きだから、涼花が冬馬に近づくのが嫌で!」
冬馬の表情が曇る。
「咲楽、それは…いじめだよ」
咲楽の顔が真っ青になる。
突然、ヒミツが腹を抱えて笑い出す。
「あははははは~~~っ‼最高~~~っ‼冬馬くんを巡っていじめとかぁ~~♡青春だねぇ~~~っ‼裏切りの匂いがぷんぷんするぅ~~~っ‼」
冬馬はヒミツを睨む。
「黙れ…!」
ヒミツはさらに笑う。
「咲楽ちゃん、バレちゃったねぇ~~♡涼花ちゃんをいじめてたのにぃ~~冬馬くんの前では“いい子”のふりしてぇ~~♡あはははは~~~っ‼裏切りの才能あるねぇ~~♡」
咲楽は震えながら冬馬にすがる。
「冬馬…本当に違うの。私は、冬馬が好き。だから、涼花が邪魔で……」
冬馬はゆっくりと咲楽の手をほどく。
「咲楽。はっきり言うけど、好きとか…そういう問題じゃない。誰かを傷つけるのは、絶対に違う」
咲楽の目から涙がこぼれる。
涼花は咲楽を睨みつけたまま、冬馬の方を見ない。