無気力男子の空城は俺の前だとバグるんだけど

普段の空城類は無気力王子様らしい。空城類は基本的に寝ていて、授業中もどこか窓の外をぼーと見ている。
けれど成績は学年トップに入っている。なんで?空城は無気力というか、何でもできる天才なのか。
休み時間、安藤と高梨はティックトックで流行のダンスを撮っていた。てかみんな自分のアカウント持ってるんだ、安藤も高梨もダンス覚えるのはや。

「ふたみんも〜一緒にする?」
「ふ、ふたみん?俺はいいよ」
「可愛いからバズるんじゃね」
「うん、参戦してよ〜ふたみん」

高梨が自分のアカウントを見せてきた。フォロワー6万、いいねで溢れていた。

「いいけど、てかフォロワーすご、2人共インフルエンサー?何者なの」
「ふたみんやってないの?普通だよ、みんなやってるしさ」

安藤のフォロワーも5万を超えていた。俺の世界には眩しすぎます。女子もティックトック撮ってる人もいて、インスタのリールを撮っている子もいる、いやみんなすごいな。やっぱ俺は、隠キャに入るんだ。

「え、うん、わかった」

可愛い音源と、俺のぎこちないダンスがマッチしていない。安藤と高梨に囲まれて踊ってみた。
空城が双海のダンスを見ていた。

「っふ、双海可愛い」
「あ、笑ってるじゃん」
「まじで可愛いよ」
「空城もやってみなよ、イケメン王子様だから、空城の方が絶対人気でるよ」
「いや、双海がいい、俺は恥ずいし」
「空城、犬ハートして」
「こ、こうか」

双海が、頭でハートを作ると、空城も真似して犬ハートをした。

「わお、類あんなにしない派だったのに、双海に言われたらするんだ」
「ふたみんはいいね、愛されちゃって」
「はい?あいされ?」
「うるせー、やっぱ寝るって」

空城は恥ずかしいがって寝た、するとクラスメイトが呼んでいた。

「空城くん、3年の佐伯さんが呼んでるよ」
「あーありがとう、でもごめんね」
「いや早いし、届いてないから」
「もう、類告白断るなら直接言わなきゃ、誰かもわかんないんだし」
「え、何、告白!?」
「類は多いからさ、面倒だから会わないらしい」
「はあ、俺が言ってくるわ」

安藤は空城の代わりに、毎回断ってるらしい。その反面空城類は、また眠ってしまった。

(て言うか無気力っていうより、もっと他人に興味持ってほしい)

「あ、ふたみんは彼女とかいるの?」
「いないけど」
「ねえ聞いてよ〜僕彼女と別れそうなんだけど〜」
「え、そうなんだ」
「俺は最近別れたけど、激思すぎて考えたくない。双海の元カノってどんなだったん」

むくりと、空城が起きる。

「えっとー」
「ふたみん顔可愛けど、行動は男らしいからギャップで、モテたんじゃないの」
「いや全然ないよ、男ばっかだよ」

空城が話を遮って、俺に質問してくる。

「はあ?男って誰?」
「…バスケ部の仲間だけど」
空城類が、イラついてる。
「え、空城何か、怒ってる」
「別に、怒ってない」
「付き合ったとかそんなんじゃないよ、単にバスケ部の仲間とずっと一緒にいただけ」
「双海も部活に追われてたんか、じゃあこれからだな、俺はモテるために筋肉つける」
「筋肉ばか、安藤はそれだけじゃん」
「お前に言われたくねー高梨は、可愛い売ってんじゃねーよ」
「だってチョコミントよりも、僕だもん」
「いや、マジでないわ」

空城が俺の顔をまじまじと、見てくる。 

「え、な、何」
「双海は本当に童顔だな」
「あ、ど、ども」
「俺だったら双海みたいな子、絶対離さないけど」
「ははは、なんだよそれ」
「本気だから」

空城の真剣な目に、俺が映ってるなんて、本当に大丈夫だろうか。

「てか双海って告白した事あるの?」
「ないよ、でも中学の時に好きな子はいたかな」
「す、好きな子!?それでどうなった」

すごい前のめりで聞いてくるじゃん、そんなに気になるか?俺の過去の恋愛。

「いや、付き合ってないから、勇気がでなくて告白もできなかった」
「そっか、双海が好きなタイプ気になる」
「うーん、自分でもわかんないんだよね」
「てか空城の方こそ、やっぱりモテモテだね」
「でも、好きでもない子に言われても、会わない方がいいと思ってるんだけど」
「でも、類は相手は誰かも知らないのに、断ってるだろ」
「ふたみんはどう思う?」
「真剣に空城のことが好きで告白してきてるから、やっぱり直接断った方がいいよ」
「そうだぞ、類は自分で行きなさい」
「空城、2年の先輩が呼んでるぞ」
「またきたよ、ラッシュだねー類くん」
「じゃあ、双海がお手本見せて行ってきて」
「え、何で俺が行くの、おかしいって」
「双海お願い、俺毎回断ってるから、今回は双海が行ってきて」

うんうんうんと、高梨、安藤、空城が三人同時に頷く。はあ、とため息をついて、3年の遠藤先輩の前に立った。

「あの、空城類くんに用があるんだけど」
「なんか僕で、すみません…」
「空城類くんにこの手紙渡してくれない、あと噂で聞いたんだけど、空城くんって毎日女遊びすごいって本当かな?じゃあ、私でもいいんだよね」

遠藤先輩と告白についてきた、周りの先輩が笑っている、なんなんだ、空城にこんな人絶対やだ。

「そうだ、先輩ここだけの話、空城って先輩見たいな人一番嫌いですよ、上部って感じで、あと空城は男の子が大好きです!」
「はあ?毎日遊んでるってのは?」
「どこからの情報ですか。女子より男子の方が可愛いって言ってるんで」
「なんか全然違うじゃん、ちょー残念なんだけど」
「そうですか、全部嘘です、先輩に空城は合わないです、じゃねー」

俺は結局、遠藤さんの手紙は受け取らずに空城の席に戻った。安藤、高梨、空城がパチパチ拍手していた。

「うおお〜〜〜双海かっけえ」
「ふたみんすごいじゃん」

突発的に3年の遠藤先輩に言ってしまった俺は、その言動と行動を思い出して、冷や汗がたらっと出た。

「あ!俺とっさに言って…空城本当にごめん、空城は女子より、男がいいって言っちゃった」
「まじで言ってたね、ふたみん〜」
「女子からはしばらく、告白ないな」

空城の表情がぱあっと明るくなって、俺の方に近づいて手を握ってきた。
(びびった〜殴られるかと思った)

「双海ありがとう、その手があったか」
「え、勝手なことしたのに怒ってないの」
「全然、むしろこれで嘘つかなくて済む」
「はい?」
「俺は好きな人と、ずっと一緒にいたいだけだから」

(あの〜この甘い感じなんですか、俺の手を握って離さない空城は、どこかおかしくなったのか。お医者さま〜ちょっと助けてください)

「…あのさ空城」
「これで告白断るのも減るし、双海ありがとう」
「類、告白の上位は俺がもらうわ」
「僕も今なら類より、いけるっしょ」

イエーイと安藤と高梨は、ハイタッチをして陽気だった。

「類くんは一途だもんねー」
「いざ、参ろう」
「うるせ、お前らはわかってんだろうな」

高梨と安藤は、にこっと笑いなにか知っているようだった。俺の内心はまだ絶望の縁に立っていて、動けなかった。

「次、美術だーいくぞ」
安藤の声かけで、高梨が美術室に向かった。
空城もいこうと廊下を出ようとする所を、どうしても申し訳なくて、俺は止めた。

「空城待って、本当にごめん、皆から誤解されるかも、嘘って言ったけど、俺のせいで変に噂流れるかも…」
「大丈夫だって、あ、じゃあ双海、代わりにして欲しいことあるんだけど」
「してほしいこと?うんいいよ、何でも」
「なんでもって…」

次の授業のチャイムが鳴った。俺はお辞儀すると美術室に向かおうとする。

「本当ごめんね、美術行かないと」
空城は双海の手を掴んで、壁ドンした。
(え、何何、なんか距離近いんだけど)

「じゃあ双海、あとで屋上きて」
「え、な…うん、いいけど」
「一緒にご飯しよ?」
「う、うん」

空城はぱあっと明るくなって、美術室へ向かった。
空城近いってまたバグってるーー!!??
空城に何されるかばっかり考えながら、美術室に向かった。