君と幸せなサヨナラをしよう。

あ、と思ってしょーくんを見るけどまだ寝息が聞こえてほっとする。


なんで私の名前知ってるんだろう。

彼女が誰だったか記憶を探りながらうなずくけど、全く思い当たらない。



「わたしは蘭と言います。しょーくんとはヨウヨウという患者会で知り合いましたの」


ヨウヨウってこの病院が数か月ごとに開催してる癌患者の交流会『陽々』のことかな。


「そうなんですね。あの、どうして私のこと…」

「あっすみませんいきなり。以前しょーくんのお家にお邪魔したとき、あなたの写真を見て可愛らしい方でしたから覚えていまして」

「……そ、そうだったんですね」


お家に行ったんだ、彼女も。

当然だよね、恋人同士なら。うん、当たり前だし私だってよく君の家に泊まってたもん。


それより私の写真って何だろう。

1年記念に海で撮ったツーショットを現像して渡した写真か、2年記念に遠出した水族館でカメラマンに撮ってもらってその場で買った写真か。

君の部屋に飾られていたものはそれくらいだったと思うけど、まあスマホで撮った写真なら沢山あるからそのうちの一枚か。