「うん、昔のことを確認したところでもっと恋い焦がれるだけなのは目に見えてるから、もう触れない。新しいカノジョさんがいるならその子に元カレさんの今の幸せを託す」
昔のことを確認したところで、か。
先輩はいつでも前を向いている。
私もそうやって生きたいのに、どうしても怖い。
「あくまで僕ならって話だから。すずちゃんの事情はすずちゃんが一番よくわかってるから、自分の気持ちを大事にしてね?」
「……うん、ありがとうございます……」
晴れない私の顔をのぞき込んでぽんぽんと優しく頭を撫でるユウ先輩。
あったかくて大きな手だなあ。
今朝唇に触れた君の冷たい指先を思い出して、比べ物にならないくらい温度差を感じる。
「まー正直、すずちゃんには未来の幸せに向かってほしいから、どんな状況でも僕に甘えてほしい、かもね」
「……っ、」
それはつまり、なんて聞けないほど泳ぐ目はうまく隣の人物の様子を確認できないけれど、なんとなく先輩も恥ずかしがっている気配がした。
