次々と仕事を処理していくうちに午後1時半。
ナースステーションの受付に一人の女性が訪れた。
「こちらの面会カードに記入いただき、このストラップを首に掛けて、お帰りの際にご返却ください」
「はい、わかりました」
面会カードの氏名欄には“夜香 蘭”と書かれていた。
私と同じか少し年上くらいに見える年齢で、ラベンダー色の生地に小花柄のふわふわしたワンピースが、細身のからだに似合って乙女チックな装い。
白い革素材の光沢感のあるハンドバッグは彼女のブルベ肌によく馴染んでいる。
「深谷さまのお部屋番号は1212号室です。そちらの廊下を突き当たり右にございます」
「突き当たり右ですね、ありがとうございます」
おとぎの国からやってきたプリンセスみたいな雰囲気の彼女は、しょーくんの面会者だった。
「可愛らしい子ねぇ。カノジョさんかしら」
という誰に話しかけるまでもなさそうな声が後ろから聞こえ、私は何も言えずその名を見つめることしかできなかった。
