君と幸せなサヨナラをしよう。

「短い間でしたが、お世話様でした。鈴木ちゃんの素敵な笑顔が見られなくなるのは残念だわ。あなたのおかげで、入院生活の不安も忘れて楽しく過ごせたし、リハビリも頑張れましたよ。本当にありがとうねぇ」


手を握って何度もお辞儀して感謝を述べる山田さん。


「私も山田さんとのお喋り楽しかったので、正直少し寂しいです。どうかお大事になさってくださいね」

「ありがとう。あなたに出会えてよかったわ。寂しいけどねぇ、別れが寂しいのは、それほど出会いが素敵だった証拠よ」

「…そうですね。私も山田さんと出会えてよかったです」


さようなら、と深々頭を下げ、車に乗り込んでいくキナリ色の柔らかい髪。


私も90度腰を曲げ、車の発進音が聞こえて上体を起こし、車が見えなくなるまで大きく手を振って見送った。



別れが寂しいのは、それほど出会いが素敵だった証拠。



彼女のあたたかい声で紡がれた言の葉は、雫のごとく私のこころにちゃぷんと落ちて波紋した。