君と幸せなサヨナラをしよう。

看護師と患者の立場になっても、それは変えられない現実なのかな。



「しょーくんのいじわる…っ」


うつむいたまま聞こえないくらい小さな声で呟いたけど、しょーくんの地獄耳にはちゃんと拾われてるのも昔から変わらない。



「……担当変えてもらえよ」

「今日は怖い主任だからできないよ……」

「くくっ、どんまい」


キシ、とベッドの軋む音が聞こえて、ちらりとしょーくんの方を確認すると既に着替えを終えて立ち上がろうとしていた。


「あっ、足もと気をつけてね、点滴の線とか踏まないように……」


言いかけたところでゲホゲホと咳き込むしょーくん。

急いで駆け寄って背中をさする。


乾性咳嗽……この前の夜も咳がひどかった。

声も前よりかすれているし、元気そうに見えるけど本当は……。


ぞくりと背中から冷や汗が垂れたような気がした。

病状が悪化しているのだろうか。

今日の検査もCT/PET検査という癌の広がりを調べるものだし、この咳ももしかして。