君と幸せなサヨナラをしよう。

「はい、ここ3分くらい押さえておいてくださいねー」


ふう。あとは検査着に替えてもらって、放射線科に引き継ぐだけだ。



「これ今日の?」


サイドテーブルに準備しておいた検査着を手に取りながら尋ねるしょーくん。


「うん、着替え終わったらナースコールで呼んでね、外で待ってますから。……って、ちょっと待って!」


「なに?まだなんかあんの」

「ちがくてっ、まだ出てないから脱がないでっ」

「……なんだよ、今さらじゃん」


ぽいっと着ていた服を脱ぎ捨て検査着に袖をとおす細いからだ。

昔のまま筋肉質だけど、今はかなり痩せてしまって骨張って見える。


ちゃんとご飯食べてるかな。
夜更かしばっかりして食欲不振になっちゃってるのかな。

入院初日は重度貧血で車椅子だったし、運動も思うように出来ないからストレス溜まってるのかな。


「そんな見惚れなくても」

「えっ!? あっ、ちがくてっ」

「ふっ、セクハラで逮捕するよ?」

「はぁーっ!? どの口が言ってるのよっ」

「くっくっくっ、じょーだんに決まってるじゃん」


ケラケラ笑うしょーくんはさぞ愉快そうでよかったデスネー。

あーもう、言うことやること聞かなさすぎてほんとペースが乱れちゃうよ。


そうだよ。君は昔から私の調子を狂わせる天才だったや。

私が何をしても、何を言っても、君のペースに巻き込まれて逆らえなくなってしまうんだ。