君と幸せなサヨナラをしよう。

「大丈夫、大丈夫、ゆっくり息吸ってー、吐いてー」


苦しそうに咳き込む音と、背中をさする音が響く。


しばらくしても、治まらない。

時計を見る。2分経過。
何か異常かも。先生を呼ばなきゃ。


ナースコールを押そうと手を伸ばしたが、ぱしっと阻止されて驚く。


「どうしたの?先生呼ばなきゃ、」

「ゲホッ…大丈夫、いつものことだかっ…ゲホゲホ」

「でもっ」


いいから、と力強く私の手首を握りしめて首を振る。

よく見たら少し落ち着いてきたみたいで、片手でペットボトルを持っている。

しょーくんの言うとおり数分で咳は治まって、ゴクゴク水を飲み始めた。


ほっと胸を撫でおろす。


「よかった……びっくりした。今痛いところはない?喉が変な感じがするとか」

「大丈夫。たぶん咳止めが切れた」

「あれ、この点滴に入ってなかったっけ……あ、内服か。もし咳が辛くて眠れないなら処方してもらうけど、どうする?」


カルテを確認してそう伝えると、いらないと即答された。