君と幸せなサヨナラをしよう。


「失礼します、回診です……」


起こさないようにひそひそ声で言い、ペンライト片手に忍び込む。

点滴を確認し、バインダーにチェックを入れていく。

呼吸も確認しなきゃ……と、振り返ってライトを当てると。



「っあ、」



ドキッと心臓が跳ねた。


ばっちり目が合った。


おおおおおおおきてる……!!!



「……」

「……っ、」

「……ハナじゃん」



固まって動けなかった私の体は、しょーくんの呟きで我に返る。



「ぷは」


無意識に息も止めていた。私が呼吸確認する立場なのに。


「久しぶり」


サマになってんじゃん、と片方の口角を上げて目を細める。

耳に馴染みすぎた低音ボイス。今はかすれ声。

病室は乾燥しやすいからこまめに水分補給しないとだめだよ、しょーくん。

そんなお節介は胸にしまい、代わりに謝罪を。


「……ご、ごめんなさい、起こしちゃいましたか」

「ううん、ずっと起きてた」


ずっと起きてたって……いま深夜2時だよ。良い子は寝ましょう。

睡眠は回復のためにも大事だよ、治る病も治らないぞ、しょーくん。