君と幸せなサヨナラをしよう。




 *




数日後の夜勤。

深夜0時前、職員用出入口にて入館カードをかざす。
静まり返る闇夜にピーッと電子音が際立つ。

スタッフステーションに入って掲示板を確認すると、今日は入院患者の数が今まで見た中で一番少ないことに気づいた。

それもあってか夜勤帯スタッフも少なめ。


割り振られた病床をチェックすると、思わず息を呑む。


「この個室って……」


見覚えのある部屋番号と、君の名前。


いつかは担当が回ってくる運命なんだけど。
そのタイミングが今日なんて不意打ちだ。


どんな顔して対応すればいいんだろう。

まあどうせ寝てるし考えてもしょうがないかと割り切って業務に集中する。


こんな日に限ってなぜかナースコールは鳴らないし、ヘルプ要請もないし、救急車の音も途切れてる。


「今日は落ち着いてますね」

「そうだねぇ」


引き継いだカルテ情報を入力しながら夜勤専属の職員と会話する。

いつもの夜勤帯は絶対こんな会話できないし、何かしらバタバタしてるから不思議な気分。