そう言ってグラスに触れていた右手を左手に絡め、両手で顎杖をつく体勢になる。
「なんかしんみりしちゃったね」
「九堂先輩……私泣きそうです」
「ははっ、そんなに感動しちゃった?」
「はい、感情移入しちゃって。自分と重なるところもあるというか……」
お別れを言えなかった過去を悔やむんじゃなくて、そうやって気持ちに区切りをつけることもできるんだ。
サヨナラなんて言葉を交わさずとも、大切な人の分まで笑って生きることが、先輩にとってのサヨナラ。
過去を悔やむなら。
左様なら、後悔ごと飲み込んで笑えばいい。
君に言えなかった本音まるごと飲み込んで、代わりに久しぶりだねって笑って吐き出せば、私は前に進めるのかな。
「泣きたいときは思いっきり泣きなよ。遠慮せず胸も貸すよ、なーんてね」
優しい声。
甘えていいよ、と言われてる気がして、どうしても目頭が熱くなるのを阻止できないよ。
