君と幸せなサヨナラをしよう。


「んじゃ僕、今日は早上がりだから帰るね。お疲れさまー」

「そうなんですね、お疲れ様です」


軽くお辞儀をしたら九堂先輩はしっぽを振ったまま更衣室へ入って行った。



「はあ……」


小さなため息は白いエナメルの床へ吸い込まれる。

こいぬ先輩…違った、九堂先輩はこんなにも楽しみにしてくれてるのに、私はこんなにも後ろ向きで。

情けなくて、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。



肩を落として隣の女性用更衣室に入る。

制服に着替え、ナースシューズを履き、髪を後ろで一つにまとめる。


「よし」


白い戦場(スタッフステーション)に一歩踏み出せば、一気に仕事モードになる。


「お疲れ様でーす」

「……」


あれ?

上司に向かって挨拶したつもりだったけど聞こえなかったみたいで、私に気づかずパソコンと睨めっこしている。

もう一度言おうと思ったけど集中を妨げるのは悪いと思い、そのまま隣のパソコンに向かった。