君と幸せなサヨナラをしよう。



ガラガラガラ…


扉が開いた。

一つの静かな足音と、一つの小さな金属音。

カルテから目を離す。


ゆっくり、ゆっくり、振り返る。



「……っ、」



変わり果てた君の姿を捉え、私の手は恐ろしく震える。




「しょー、くん……」


消え入りそうな声はちゃんと君の耳に届いていた。

車椅子に乗る君の目は大きく、でも弱々しく開かれる。



「……ハナ……?」


ああ、懐かしい、声。

胸の奥と眼球の奥が、じんわりと熱をもった。



「……久しぶり」



本当はもっと言いたいことがたくさん溢れていたのに、発声できたのはそれだけだった。