君と幸せなサヨナラをしよう。

そして3つめは、2か月前のこと。



──……

年の瀬、雪解けが待ち遠しい白銀の世界で、
ひとつの命は天へ旅立った。



「……ではお願いします」


ご遺族が葬儀屋の一人に声をかける。
担当者が寝台車に搬送する。

私はその様子を霊安室の外から静かに見守る。


癌が再発した。

ひっそりと息を潜めて臓器を蝕んでいた病は、突然暴走してあっという間に生命を奪った。



「しょーくん……」


私の耳にしか届かない音量が漏れる。

ぎゅっと唇を噛むと、キュッとタイヤが擦れる音がして、寝台車が専用出入口から出ていく。

そのバックドアに向かって一礼し、金色と漆黒が見えなくなるまで見送った。

遠くの青すぎる空を見上げて目を細める。

空の遥か向こうで、君は私の笑顔を思い浮かべて安らかに笑っているといいな。