君と幸せなサヨナラをしよう。

「あっ、ち、違う違う、ドウセイ!同棲ね、うんうん!いいね住もう!一緒に住もうユウ先輩!」


うっかり飛躍したアンサーを訂正するけど、どうか私の思考回路がバレませんように。


「ぷっ、すずちゃんほんとかわいいね」

「きゃっ」


ぼふ、と大きな胸に吸い込まれ、鼻腔にユウ先輩の香りが広がる。

真っ暗な夜道のど真ん中。
再びお願いするけど、お星さま以外だれもこちらを見ていませんように。


「うん、ケッコンしよ」

「……え」

「でももう少し待って。もっと一人前になってから、ちゃんと言いたい」


一人前、って何だろう。ユウ先輩はじゅうぶん大人だと思ってたけど、先輩には先輩の階段があるんだろうなあ。

うん、とうなずくと、ぎゅ、と抱きしめられて、ゆっくり熱が離れる。

この緩急が大好きだ。ユウ先輩の大きなからだに埋もれている時間も、離れる前に一度強く抱きしめてくれるのも。


「だいすき、ユウ先輩」


そう言葉にすれば、キリッとした眉が下がってふにゃ、と緩む目元も。


「僕も愛してるよ、すずちゃん」


胸いっぱいに幸せが溢れた。