君と幸せなサヨナラをしよう。

やれやれ、と言いながら私の肩を優しく叩くしろっきー。
それはこっちのセリフだよ。


「無理に行かなくったっていいんだよ。でも、断らなかったのは事実だから。少なくとも九堂先輩は大人なんだし、そこはちゃんと覚悟もってよね」

「う、ん……」

「好意が無いなら下手に誤解されることしなーいの。いい先輩だから気まずくなったりはしないと思うけどさ、すずちゃんもそこはわきまえなきゃ」

「むむむぅ〜」


私のほっぺをつまんでビヨンビヨン揺らす小悪魔しろっきー。
それにつられて視界が回る。


「じゃ、がんばってね!おつかれ〜」

「お、おつかれ〜」


散々ほっぺを満喫した彼女はひらりと手を振って退勤していった。


しん、と沈黙が広がる部屋には私以外誰もいない。


ふと視線を落とす。

薄汚れたナースシューズは、なんだか今の私のこころみたいだ。


わかってるよ。
大人の男女が、二人で飲みに行くことの意味くらい。