君と幸せなサヨナラをしよう。

「もしかして、ヨリ戻した感じ?」

「あっいや、別れたよ!ちゃんと気持ち伝えて最後のデートもして、お互い悔いのないようにサヨナラできたの」

「はあー……そっか、それはよかったー」


ユウ先輩は口元を手で覆い、天を仰ぐような体勢をする。

それは一体どういう感情なんだ。
とりあえず相談にのってくれたお礼を言わなきゃ。


「その説はどうもありがとうね。おかげ様で無事、私は前に進んでいけそうです」

「……それってつまり、新しい恋をはじめられそうってことかな」

「うん、まあそうだね。とりあえず自分磨きから始めなきゃな〜」


胸元に流れる傷みかけの毛先を指でくるくる巻いてみる。

まずは美容室に行って蘭さんみたいに美しい髪質へと改善してもらうところからかな。

4月に行ったっきり忙しくてご無沙汰だったから、いちばん高級なトリートメントをお願いしてみようか。


「……そのままでも可愛いよ、すずちゃんは」

「え?」


枝毛を見つけたところでそんな声がした。