君と幸せなサヨナラをしよう。

ぱく、と最後の欠片を口の中へ放り込む。

ああ、美味しかったなぁ。
ああ、終わってしまったなぁ。


隣でクシャ、とクレープの包み紙が潰れる音がして、しょーくんも食べ終わったらしい。


「もし、過去に戻れたら」

「……過去?」

「うん、もし過去に戻れるタイムマシンがこの世界にあったとして、ハナならいつ、どこで、何をしたい?」


しょーくんがそんなファンタジーな話題を振るなんて珍しすぎて、思わず隣を見た。

長いまつげは遠くを眺め、高い鼻筋から顎にかけて綺麗なEラインを描く横顔はいつ見ても美しい。


「私は……戻りたくない。過去に戻ったら絶対同じことを繰り返したくないって思いそうで、今この瞬間も、今感じてるこの気持ちも、無くなっちゃうかもしれないじゃん」


過去を変えるということは、未来も変わってしまう。

せっかく見つけられた答えが書き換わってしまうのは嫌だと思った。

そう言うと君は、少し驚いた様子でへえ、つぶやく。