君と幸せなサヨナラをしよう。

「しょーくん、私この先も君と出逢ったこと、ずっと忘れられないと思う」

「……それは困るね。ハナには早く次の恋愛に踏み出してほしいんだけど」

「うん、だから忘れないよ、しょーくんとの出逢い」

「どういう意味?」

「大切な思い出だから消したくないんだ。君との時間が幸せだったし、幸せだったから今の私があるし、もし君と出逢わなかったらこんなに別れがつらいなんて知らなかった。

 そんな大事なことを忘れようとすればするほど怖くなって、逆に前に進めなくなったの。

 だから私は、忘れないことで、君と幸せなサヨナラをするんだよ」


ねえ、君は。

君は幸せだったかな、いっしょに過ごしたかけがえのないあの日々。

毒舌でも意地悪でも不器用でも、君のぜんぶがだいすきだったし、私が私でいられる唯一の存在だったよ。


「ありがと、しょーくん」


であってくれて。
想いを受け取ってくれて。
愛おしい日々をくれて。
私のために別れてくれて。
忘れたくない記憶をくれて。