君と幸せなサヨナラをしよう。

しょーくんはあの面会で、私の最後のお願いに応えてくれた。


サヨナラを告げてしょーくんの病室を出ようとしたとき、行くな、と呼び止められて驚いて振り向くと、君は泣きそうな顔でこちらに手を伸ばしていた。



──…『……デート、行こう』

 『え……、え!?ほんとに?』

 『最後くらい笑顔で別れたい』

 『っ、わ、私も!しょーくんと笑ってるときがいちばん幸せ!』

 『……でもごめん、今じゃなくて退院まで待ってほしい』

 『もちろんだよ!何日でも待ってる!』…──



そうして夏が過ぎ、しょーくんが退院できたのは秋の暮れ。

もうすぐ冬を迎えそうな空は気まぐれで、温度計の目盛りは日々激しく上下を繰り返し、理不尽に付き合わされて可哀想だと思う。

しょーくんも私のお願いに付き合わされて迷惑してるかもしれないけれど、誰がどう見ても楽しそうだからきっと可哀想じゃない。