「わあ、ありがとうございます」
隣でしらっきーが何かしら、と首を傾げる。
「こちらはボッチボールと言います。アマレットの甘い杏の香りを、オレンジとソーダで割ったフレッシュなカクテルです」
「素敵な色〜」
底に溜まっている濃いオレンジをかき混ぜる。
感嘆の声を上げて嬉しそうに味わうしろっきー。
私もグラスの縁に口を添える。
「はあ…美味しい」
…九堂先輩みたいな、爽やかな風味だなあ。
そんなセリフはボッチボールと共に喉の奥へ流し込んだ。
そうして深い長い大人の夜に沈んでいって。
嫌なことも辛いことも、一緒に沈めて鎮めて静めて。
千鳥足になる前にしろっきーとバイバイして、これから夏を迎えるであろう湿った空気の中をふわふわ漂う。
心も体も空高く舞っているような錯覚だったのに、扉の向こう側に行ってしまったらそんな高揚は一気に打ち解けて。
ぼふんと軋んだ音によって現実世界へと連れ戻される。
つまり気が付いたらキャラメル色のベッドで突っ伏せていたということ。
