「……」
「……」
ドアから目を背け、振り返ると立ち尽くすハナが視界に入る。
「……座れば?」
「……あ、うん」
パイプ椅子を出してキシ、と座る。
「これありがとう」
俺はコーヒーを手に取りペットボトルの蓋を捻って喉へ流し込んだ。
久しぶりのブラックは、初めて飲んだ時と同じくらい苦みが強かった。
「治療とっても大変だったよね。本当にお疲れさま」
「うん。ようやく外に出られて嬉しい」
「回復してほんとうによかった。私ね、絶対あきらめないぞって思っていたけど、日が経つにつれてだんだん不安になってきたの。やっぱりもう二度と戻ってこなかったらどうしようって、すごく怖かったから……ほんとうに、よかった……」
声が震えていて、今にも泣き出しそうなハナを抱きしめてやりたかった。
「……なんでハナがそんなに心配してんの。もう俺のことはとっとと忘れて自分の人生ちゃんと生きろよ」
なんのために別れたと思ってるんだ。
