君と幸せなサヨナラをしよう。


「……蘭、元気か」

「相変わらずよ。そっちは……うん、コテンパにやられちゃって、らしくないわね」

「…るせ」


ジョークよ、うふふふ、と揶揄いながら差し入れらしきものを冷蔵庫へ入れ、ベッドサイドのパイプ椅子を組み立てて座る。


「やっとあなたにお返しができたわ。ゼリー、たくさん持ってきたから食べられるときに召し上がってね」

「ありがと」


2年前、出会ってすぐの頃。真逆の立場で彼女にゼリーを持って行ったことがある。



「どう?あなたの紹介してくれたお友達のお店でやってもらったの。わたしはすごく気に入ってるわ」


そう言ってさらりとシャンプーのCMみたいに髪を手で払うと、本物そっくりの黒髪がゆらりと艶めいた。



「いいじゃん。蘭によく似合ってるよ」

「うふふ、ありがとう」


蘭は、おっとりした口調は少しハナと似ているけど、まとう空気はハナとは全然違う。

妖艶で大人っぽく、隙のない振る舞いは心の内へ一切踏み入ることを許さない、そんな女性。