数日後の夜。今日は満月だった。
満月の夜はなぜか眠れない。
それをハナに話したとき、狼みたいだねと笑われて、抱き枕の刑に処した記憶が蘇る。
「はあ……」
病室の窓。カーテンは開かれたまま。単に閉める気力が湧かなかったから放置した末路。
夜空は満ちた月によって完全に支配され、星ひとつも見えない。
漆黒のキャンバスに光芒とした月光が異様に浮き立つ。
そんな独りぼっちの満月のように。
この先の人生は、ひとりで生きていきたいと思った。
誰にも迷惑をかけたくないし、誰かを悲しませたくない。
そういう思いで過ごした彼女のいない2年間。
一度たりとも忘れることはなかった。
今お前はどこにいるのか。
誰と笑っているのだろうか。
何を思って過ごしているのか。
何気ない日常の中にお前の欠片が散りばめられていて、油断すると未練という名の擦り傷だらけになってしまう。
自ら手放したことに、後悔はしていない。
この選択でよかったんだと心底思ってる。
