君と幸せなサヨナラをしよう。


────… 看護師になっても、ハナは泣いていた。

俺の顔を見て久しぶり、と告げた次の句は、涙だけだった。

くらくらする頭は貧血のせいか、愛しい人の幻覚と幻聴のせいかわからなかったけど、ものすごく眠たい。

宙に浮いたような感覚の中で、気がつけば白い夢の世界に沈んでいた。



夢の中でも、ハナは泣いていた。

『しょーくんのばかばかばか!』

『うるさいな、お前はもう俺の女じゃないから近づくな』

ちがう、ちがうよ。ほんとうは、はなれたくない。


『さよなら、しょーくん』

『うん、ばいばい、もう二度と会わない』

いやだ、ばいばいなんて、いやだ。



「──っ、」


目を開けると、白い天井。
脈と同じリズムの機械音。
空調の控えめな風切り音。

いつのまにかベッドで寝ていたらしい。
車椅子でここにきて、ハナの幻に遭遇し、ハナの夢をみた。

たったそれだけのことなのに、なぜか酷く疲れた。