駅はもう目の前だけどしばらく待てば止むかもしれないという期待を片手に、コンビニの前で立ち往生する数人の列に加わった。
「うわあ、すごい雨だねぇ」
「天気予報ハズレたな」
「もう少しで駅だったのにー」
今にも落っこちてきそうなくらいたっぷり雨水を含んでいる薄黒い雲が空を覆い、せっかくの夕焼けを台無しにしている。
その分厚い雲に比べたら、俺の重たい口なんて馬鹿にされているかのような錯覚になった。
そのおかげで、固く結ばれた糸が切れて、決心がすとんと胸に着地した。
遠くで雷が鳴って、怖がる彼女の腕が俺の腕にしがみつくように絡まる。
「……、」
その華奢な腕を、そっと、振りほどいた。
「え……」
鈴を振るような儚い声は俺を見上げる。
俺はそのか弱い腕に触れる資格はない。
「あのさ」
自分でも驚くほど冷たい声だった。
「ハナ、別れよう」
