君と幸せなサヨナラをしよう。


そんな堂々巡りの一人芝居をしていると、名前を呼ばれ看護師らしき人に別室へ案内される。


「こんにちは、看護師の九堂です。よろしくお願いします」

「……よろしくお願いします」


イカツイ顔に似合わない温厚な笑みを浮かべた男が、丁寧にお辞儀をして書類を机に広げていく。


「次は精密検査とのことで先生から伺っています。こちら次回の来院予約票で、こちらは当日の流れと注意事項で、それからこちらはがん患者のためのガイドブックになります」

「……」

「生検も入っているので、いくつか確認事項がございまして、こちらの用紙に記入をお願いします」

「……あの、」

「はい、何かご不明点ですか?」


ガンのガイドブックとやらを突き返す。


「俺、まだガンって確定したわけじゃないっす」

「……ええ、っと、」


困ったように眉をひそめ、資料をそっと手に取る看護師。

俺と資料を交互に見つめ、少し何かを考えたあと口を開いた。