君と幸せなサヨナラをしよう。

「まだ簡易的な検査の段階なので確定診断はできないけど、この数値を見る限りは恐らくほぼ間違いないでしょう。これからもっと詳しい検査をするので、……──」


心ここにあらずな精神状態でうろ覚えだが、これから沢山の検査をして治療法を考えていくらしい。


「──よろしいですか?」

「……はい」


一通り話が終わったようだ。

他人事のように上の空で返事をする。

まだ整理しきれていない頭の中のまま、診察室を出て椅子に座る。


うずくまるように頭を抱え、まぶたを伏せる。

病気の正体が詳しくわからない時点だからこそ、物凄い不安と恐怖に支配される。


俺はもう長くないのだろうか。

手も足も動くし、普通に喋れるし、飯も食えるし酒も飲めるし、セックスだってできる。


こんなに元気なのに。

自分が病気だなんて信じられなかった。

否、信じたくなかった。


この現実から目を背けるように首を振る。

考えたくないのに繰り返される空耳。