君と幸せなサヨナラをしよう。




□□□ 深谷翔馬(しょーくん) side □□□




全身に力が入らない。

これはまずいと思いすぐ病院へ行った。


重度貧血。

癌が再発したのか、別の要因なのか詳しく調べるため念のため入院になった。

これまで治療が順調だったおかげで無事に大学を卒業でき、この春から大学院へ進んだ矢先だった。


歩けないくらいしんどくて、病院内の移動は車椅子を用意してもらった。

朦朧とする意識の中で車椅子を押していた看護師が個室のドアを開ける。


誰かいる。

白いナース服を認識し、もう一人の看護師が待っていたんだなと思った、刹那。



「しょー、くん……」



目の前に立つ彼女は幻覚か?


背後の窓から差し込む日光がバックライトのように全身を照らす。

顔がはっきり認識できなくとも、儚い声とシルエットだけで、それが恋人だった彼女だとわかった。


血行不良で思考が思うように働かない中、最後の後ろ姿を見届けたあの日が走馬灯のように蘇ってくる。



そもそもの発端は2年前────……