君と幸せなサヨナラをしよう。

「……よかった。あたし今すずちゃんがめちゃくちゃ大人に見える!」

「ええーっ、はじめから立派な成人女性ですー!」


くしゃくしゃとしろっきーが私の頭頂部をかき回すから、せっかくまとめた髪がつんつんになったじゃないか。

えい、やり返しちゃえ。


「うひゃー、ほら仕事仕事ー!」

「あっ、ちょっ」


逃げられた。

私だけつんつん帽子でむっとしたけど、仕事終わったら不意討ちかけてやろうと企んで仕事モードに切り替えた。



廊下を歩いていたら、開かれた扉の前で足が止まる。


からっぽになった君の部屋。

時間が止まってしまったかのように静まり返っている。


でも、明日にはもう、別の患者さんが入ってくるかもしれない。


もし君の時間が止まってしまっても、
私が過去から進められなくても、
この世界はお構いなしに動き続けるんだ。



そっと扉を閉めて背を向けて、再び歩みを進めた。