君と幸せなサヨナラをしよう。


「挿管固定完了!よし、自発呼吸追いついた、アンビュー揉んで!このまま内視鏡室に走るよ!」

「はい!誰かエレベーター確保お願い!」

「っあたし行きます!」


もつれそうな足を無理やり動かしてエレベーターまで猛ダッシュ、矢印を猛連打。

数秒後、ピコーンとドアが開くと同時にベッドが到着し開ボタンを強く長押しする。

バタバタ複数の足音が乗り込んで、閉めます!と誰かの叫び声が聞こえたと同時に親指の力を抜く。


金属ドアの閉まる音がして、ふっと頭上のランプが消えた。



「はぁ…はぁ…」


しんと静まり返ったエレベーター前で一気に脱力し、思わずしゃがみこむ。

ダッシュしたせいで喉が渇いた。


大吐血だった。緊急手術だからうまくいけば早くても明日、遅くとも2〜3日で目を覚ますはず。



「すずちゃん……」


1212号室の患者さんは、すずちゃんの元カレだ。


昨日せっかく、決断できたのに。


早く。一刻も早く、目を覚ましますように。



そう強く願って、立ち上がった。