君と幸せなサヨナラをしよう。




スタッフステーションに戻ると、何やら騒がしく職員たちが走り回っている。

何があったのか主任に尋ねると、入院中の患者さんが急変したらしい。


「白木さん、これチューブ8.0とスタイレット、至急1212号室までお願い!」

「了解です!」


……ん?1212号室って、確か…。


なんだか聞き覚えのある部屋番号で、眉をひそめつつ駆け足で向かうと。



「──さん、大丈夫ですかー!聞こえますかー!おい、チューブまだ!?」

「先生!チューブ8.0とスタイレットです!」


急いで担当医へ駆け寄り手渡すと、目に入ったのは赤く染まったベッドと床。

衝撃的な光景に足がすくむ。


「もっと吸引して!全然見えない!」

「はい!」


ズズズズ、ゴボゴボ、と吸引器が赤を吸う音がやけに重く耳にのしかかる。

鉄の生臭い匂いが鼻腔をつく。

追い打ちをかけるように心電図モニタが血圧低下を感知し、緊迫した警告音を鳴らす。


「輸血!早く!」

「はい!そこどいて!」


ぐいっと肩を引かれ後ろによろめいて、はっと我に返る。