君と幸せなサヨナラをしよう。

受け取ってぼやける視界をごしごし払拭すると、先輩は近くにあったメニュー表を盾に周りから目隠ししていた。


「……すみません、取り乱してしまって」

「ううん。白木さんの気持ちはすごく伝わったよ」

「きいてくれてありがとうございました。すっきりしました」


うん、と短い返事で済ませた先輩は、泣きっ面で不細工なあたしの顔を見ないよう気遣っているみたいで、じーっとメニュー表を見ていた。


結末がわかっている恋だから、涙なんて出ないと思っていた。

いつのまにこんなに弱くなってしまったのだろう。


でも、大丈夫。

思う存分好きな人に好きを吐き出したら、涙と一緒に、かなしみも流れていったみたい。


恋が叶わない人に惚れたなら。

左様なら、悔いのないようありったけの想いをぶつけてしまえばいい。


サヨナラ、短命だった恋心。



「ふう……」

ぬるくなった水を喉に流せば、空っぽのこころにほんのり潤いをくれた。