君と幸せなサヨナラをしよう。



□□□ 白木桜(しろっきー) side □□□



梅雨時期の重たい空気が苦手だ。

水蒸気をたっぷり含んだ空気が肌を這うようにへばりついて吐き気がする。


でも夜の雨は好きで、こうしてぴちゃぴちゃわざと足音をたてながら歩くと跳ね返ってくる雨飛沫がきらきら光を散らせて、まるで宝石の花道みたいだから。



「はあ……」


すずちゃんといつものバーで飲んだ帰り道。

イヤホンから伝う音楽が、先輩との何気ない会話を何度も回想させてくる。



『白木さん、このペンってオフィシャルグッズだよね』

『はい、あたしこのバンド好きなんです!先輩も好きなんですか?』

『うん、最新曲もう聴いた?良すぎて一番好きな曲更新したよ』


先輩の一番好きな曲。

何度も何度も聴いて、先輩を想ってる。


いつからだろうな。

この会話をしたのが4月の研修後、配属されてすぐのことだから、きっとその時から意識してたんだと思う。