君と幸せなサヨナラをしよう。


「あ、はい、しろっ…き、さんとサシです」


うっかりニックネームで呼びそうになって不自然な『白木さん』になっちゃったけど、先輩は気にも止めずに微笑んだ。


「いいねー、楽しんで!」

「はいっ。九堂先輩は夜勤ですか?」

「うん、気合だ気合ー。それよりほら、白木さん待ってるんでしょ、いってらっしゃい」

「ではお疲れさまです!」


ぽんぽん、と背中を軽く押されて退勤を促される。

と思ったらあっそうだ鈴木さん、とまた呼び止められる。

振り返ると九堂先輩がちょいちょいと手を小さく振りながら小走りで向かってきて、コソコソ話するみたいにこちらへ身を寄せた。


「僕もご一緒したいんだけど、どうかな?」

「えっ」

「あ、今日じゃなくて、今度でいいんだけどね」

「も、もちろんです!ぜひぜひ!」


いきなりのお誘いに驚きを隠せない私をよそに、ニカッと爽やかな笑みを浮かべる先輩。

はい、と渡された何かを反射的に受け取ると、じゃあお疲れー、と言って爽快に去っていってしまった。