うむ。なるほど。

新年祭が終わると、俺の日常が戻ってきた。
朝ご飯を食べて身体を動かす。
週に一度はヒルア先生に教えてもらって、他の日は一人でルビーラの練習をする。
昼ご飯を食べてギンナン少年と後宮へ。
カツィにルビーラを聴(き)かせて、リリシアに字を教えてもらって自室に帰る。
モデッツ先生とお勉強をして先生が帰ると自学自習。
最後に夕ご飯を食べて一日が終わる。

違いと言ったら、カツィが日々成長していることだ。
俺がルビーラを弾いているのを見て、手を伸ばすようになった時は感動だった。
カツィが自分の手をジッと見る(ハンドリガード)ようになって俺の方を見ない時は、俺のルビーラが手に負けたと落ち込んだ時もあった。
カツィと呼び掛けて、振り返ってくれた時には、もうこいつは俺が育てていくしかないなと思ったものだ。

ただ、おむつを変えて欲しい訳でもお腹が空いた訳でもないのに泣くようになったのは困りものだ。
先日なんか、ついに俺がルビーラを弾いている最中に叫ぶように泣き始めた。
俺が練習中だというのに邪魔するとは一体何事かと、ちょっとイラっとしたが、赤子にそんな事を言う訳にもいかない。黙って部屋を辞した。

逆に、俺が練習を終えて、リリシアの所に移動しようとした時に泣き始めた時もあった。これは可愛かったな。俺が帰るのが嫌なのかと、デレデレしてしまったのは致し方ないと思う。

そうやって、カツィの成長を楽しんでいたら、離乳食が始まり、ずり這い(ずりばい)し始めた。
赤子の成長というのは本当にあっという間だ。
ルビーラを弾く俺の足元にくっついてくるカツィを愛(め)でない理由がない。
しかも、カツィは非常に頭が良いらしく、俺がこれは触っちゃダメだぞ、と言うものには絶対に触れないのだ。天才かも知れない。

ただ、たまに離乳食を吐き出したりしているので、グルメ関係ではちょっと我儘かもしれない。まったく、舌の肥えた赤ん坊だなんて、困ったものだな。
俺が高級離乳食でも買って来ましょうか?

なんて、デレデレしている間に、いつの間にか時は流れ、リルが臨月(りんげつ)を迎えたらしい。
まだ生まれる訳では無いだろうが、王宮が緊張に包まれているのを肌で感じる。

そして、物凄く久しぶりに、ミームが俺の部屋に訪れた。

「腹の子が、魔力過多(まりょくかた)のようだ。無事に産まれるか分からない」