俺が読み上げた神話に不満を抱いている間、モデッツ先生も助手の若者もギンナン少年も一言も喋らなかった。
何か間違えただろうかと、紙から顔を上げると、なんと。
泣いている三人が居た。
え、何で?
何をそんなに泣いておられるのですか?
どうしていいか分からず、ただ黙って見ていたら、最初に復活したのは先生だった。
「素晴らしい朗読で御座いました。このように美しい調べの神話は初めて耳に致しました。ルイーナ様こそ、神の使いに間違いございません」
間違いですけど。
何。その涙は、俺の朗読が上手かった事への感動という事か?
照れるではないか。
「この神話は、先日陛下が統治された右の端国より出土した石碑に刻まれていたもので御座います。まだ、どういった意味なのかは解明されておりませんが、神代の遺跡。我らに何かを伝えようとして下さっているのでしょう」
先日って、俺が生まれる前の話だよな。
老師にとって、五年前はもう先日なのかもしれないな。
にしても、右の端国って事は、後宮に居るスパダリこと、メイレンの出身国だな。
何か、武芸に秀でた国だって聞いた事がある。
その国で出土したばかりの石碑か。もしかして、続きとかもあるのかな?
「モデッツ先生」
普通に手を挙げたら、訝しがられた。
確かに、小学校じゃないんだから、普通に発言すればよかったな。失礼。
「この石碑には、続きはありますか?」
続きには、めでたしめでたしの内容が書かれているかも知れない。
だって、『滅亡しました』で終わりは嫌だろ。
「おぉ、素晴らしいお考えですな。左様。この石碑には続きの文言が書かれているのではないかと考えられております。ですが、発掘が進んでおらず、まだ何も判明して居らぬのです。計画としては、あと五年もあれば全体が発掘されるのではないかという所ですな」
五年か。
モデッツ先生にとってはあっという間って感じなんだろうな。
だが、俺にとってはだいぶ先の話だ。
なにせ、俺の人生はまだ五年弱だからな。
「続きが気になりますね」
当たり障りのない言葉を返し、この話題は終わった。
ギンナン少年とモデッツ先生の助手もちゃんと我に返っていて、また別の紙を渡された。
「次は、文字の確認を行いましょう。これから私が読み上げる文章をお書き下さい」
渡された白紙に、モデッツ先生が読み上げる内容を書き記していく。
内容は、意外や意外、物語文だ。
どうも、英雄物語のようだ。
途中で英雄が目を負傷したという内容があったので、以前俺が隻眼の治癒を行ったボラスの英雄譚だろう。
結構な長文だし、先生の話が淀みないので、書き留めるのは難しかった。
頭は追いつくのだが、手が追いつかない。
いくつかの文字を飛ばして、飛び飛びで単語だけ記してみた。
「なるほど。素晴らしいですな。このような書き方であれば、すべての文字が書かれていなくとも意味が分かります。文字は流石でございますな、とても美しゅうございます」
めっちゃ褒めてくれる。
老師は淡々と授業を進めていくタイプかと思っていたが、嬉しい想定外だ。
何を隠そう俺は、褒めても貶されても伸びないが、褒めて貰えないと確実に反発するタイプなのだ。
何か間違えただろうかと、紙から顔を上げると、なんと。
泣いている三人が居た。
え、何で?
何をそんなに泣いておられるのですか?
どうしていいか分からず、ただ黙って見ていたら、最初に復活したのは先生だった。
「素晴らしい朗読で御座いました。このように美しい調べの神話は初めて耳に致しました。ルイーナ様こそ、神の使いに間違いございません」
間違いですけど。
何。その涙は、俺の朗読が上手かった事への感動という事か?
照れるではないか。
「この神話は、先日陛下が統治された右の端国より出土した石碑に刻まれていたもので御座います。まだ、どういった意味なのかは解明されておりませんが、神代の遺跡。我らに何かを伝えようとして下さっているのでしょう」
先日って、俺が生まれる前の話だよな。
老師にとって、五年前はもう先日なのかもしれないな。
にしても、右の端国って事は、後宮に居るスパダリこと、メイレンの出身国だな。
何か、武芸に秀でた国だって聞いた事がある。
その国で出土したばかりの石碑か。もしかして、続きとかもあるのかな?
「モデッツ先生」
普通に手を挙げたら、訝しがられた。
確かに、小学校じゃないんだから、普通に発言すればよかったな。失礼。
「この石碑には、続きはありますか?」
続きには、めでたしめでたしの内容が書かれているかも知れない。
だって、『滅亡しました』で終わりは嫌だろ。
「おぉ、素晴らしいお考えですな。左様。この石碑には続きの文言が書かれているのではないかと考えられております。ですが、発掘が進んでおらず、まだ何も判明して居らぬのです。計画としては、あと五年もあれば全体が発掘されるのではないかという所ですな」
五年か。
モデッツ先生にとってはあっという間って感じなんだろうな。
だが、俺にとってはだいぶ先の話だ。
なにせ、俺の人生はまだ五年弱だからな。
「続きが気になりますね」
当たり障りのない言葉を返し、この話題は終わった。
ギンナン少年とモデッツ先生の助手もちゃんと我に返っていて、また別の紙を渡された。
「次は、文字の確認を行いましょう。これから私が読み上げる文章をお書き下さい」
渡された白紙に、モデッツ先生が読み上げる内容を書き記していく。
内容は、意外や意外、物語文だ。
どうも、英雄物語のようだ。
途中で英雄が目を負傷したという内容があったので、以前俺が隻眼の治癒を行ったボラスの英雄譚だろう。
結構な長文だし、先生の話が淀みないので、書き留めるのは難しかった。
頭は追いつくのだが、手が追いつかない。
いくつかの文字を飛ばして、飛び飛びで単語だけ記してみた。
「なるほど。素晴らしいですな。このような書き方であれば、すべての文字が書かれていなくとも意味が分かります。文字は流石でございますな、とても美しゅうございます」
めっちゃ褒めてくれる。
老師は淡々と授業を進めていくタイプかと思っていたが、嬉しい想定外だ。
何を隠そう俺は、褒めても貶されても伸びないが、褒めて貰えないと確実に反発するタイプなのだ。


