うむ。なるほど。

そして、さぁ、勉強でも始めようか。と、本棚から歴史の本に手をかけた時。

「ルイーナ様、先生がお見(み)えです」

ギンナン少年に声をかけられた。
ん?先生?

全く理解できずにギンナン少年を見返していたら、その向こうの扉からお爺さんが入ってきた。
なるほど、確かに、先生って感じ。
いや、むしろなんか、老師(ろうし)って感じもあるな。

「お初にお目にかかります。本日より、殿下の授業を担当するモデッツと申します」

え、何々、どういう事?
と、オロオロしている間に、モデッツ先生とやらの後ろからモデッツ先生と同じ服を着た若者が何人も入って来て、俺のテーブルに本を積み上げ始めた。

「殿下はとても優秀だと聞いております。こちらの教材は、自学自習用にお使い下さいませ」

授業で使う分ですらなかった。
入ってきた若者は、本を積み上げるだけ積み上げて、そそくさと出て行った。
残ったのは、先生と助手みたいな若者一人と、ギンナン少年と俺。

「えっと、ルイーナと申します。よろしくお願い致します」

とりあえず、年長者は敬っておくべし。
本棚から取り出そうとした歴史の本を仕舞い直して、挨拶をしながら席に着いた。
モデッツ先生は、非常に満足そうに頷いた。
どうやら、俺の対応は間違っていなかったようだ。

「それでは、本日はどれくらいの文字を覚えておられるかを確認させて頂きます」

モデッツ先生の言葉に、助手らしき若者が紙を手にこちらへ近づき、ギンナン少年に手渡す。
そして、ギンナン少年が俺に手渡す。
……今の、王族っぽいぞ。

「こちらの紙に何が書かれているか、お判りになりますかな?」

まずは読み方の確認だな。
内容としては、神話(しんわ)のようだ。

「遠(とお)き神代(かみよ)の刹那(せつな)
 天(てん)なる男神(おがみ)に漲(みなぎ)りしは無尽(むじん)の焔(ほむら)
 地(ち)なる女神(めがみ)に宿(やど)りしは不滅(ふめつ)の雫(しずく)
 乾坤(けんこん)交(まじ)わりて 人(ひと) 生(い)くるのみ

 天哭地壊(てんこくちかい)の凶嵐(きょうらん)訪(おとず)れ
 焔(ほむら) 狂(くる)い爆(は)ぜ
 雫(しずく) 乾(かわ)き果(は)て
 人(ひと) 生(い)き難(がた)し」

書き方が神話っぽいな~。
何か、厳かな気持ちになる。意味は分からないけど。

とりあえず、何か神様が二人いて人が生きていたけど、嵐が来て人が生きられなくなったって事みたいだな。
でも、内容はこれだけ。
神話って、めでたしめでたしまで書くものなのでは?
不幸になりました。チャンチャンじゃダメだろ。


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明日から十月までちょっと更新止まります。再開したら、またよろしくお願いします。